Web広告とテレビCMの違い

私はテレビをあまり見ない。特に、民間放送に関していえばほとんどお目に掛かることがない。なぜならばテレビ CM が大嫌いだからだ。テレビ上のそれは、Web 広告よりもはるかに図々しい。一分余りの間、画面全体を完全に占拠し、騒々しい音楽や派手な演出と共に存在感をアピールする。邪魔どころの話ではない、その間は完全に番組が中断されてしまう。
それに比べて Web 広告は慎ましいとも言えるだろう。確かにポップアップ・ウィンドウやアニメーションするバナー画像は画面への集中力を妨げるが、記事自体を閲覧不能にすることは稀だ。スプラッシュページに関しても、配慮ある Web サイトでは Skip ボタンが用意されている。テレビ CM をスキップするという芸当は、現在のアナログ TV の技術では不可能な話だ。
しかし一般的に言うと、Web 広告やスパムメールは圧倒的に嫌悪されるのに対し、テレビ CM はいまだに健在である。印象でも、商業効果の面でもこちらのほうが優れた結果を弾き出している。名物 CM や CM から生まれた流行歌なんてものが年にいくつか登場するが、「名物バナー広告」なんてものは聞いたことがない。
この違いは何だろうか。
ひとつの答えとして、それはユーザの姿勢にあるだろう。テレビはソファに寝そべりながらぼんやり見るものに対し、Web は極めて能動的に、目的を持って閲覧する場合が多い。しかし、何ともなしにネットサーフするケースもあるだろうし、完璧な答えとは言えないかもしれない。
私は民放をほとんど見ないので、なぜ多くの人がその大袈裟なテレビCMを目にしながら、なおその番組を見続けるのかが理解出来ない。是非そのあたりを訊いてみたいところである。ひょっとすると、成功する Web 広告の秘訣がそこに隠されているのかもしれない。