Japanese Only は必要か

"Sorry, This site is Japanese Only"と書いてあるWebサイトに出会うたびに、本当に大丈夫なのか、と心配になってくる。というのも、1年ほど前に近所の銭湯が、ロシア人客を入浴拒否したがために多額な賠償請求をされたばかりだからだ。そんな中で“日本人専用”という看板を、あえて世界に向けて掲げ続けているという行為は、怖いもの知らずとしか言いようが無い。
“このサイトには日本語のコンテンツしかありません”と言いたいのはよくわかる。しかし、“Adult Only”*1という文字が“アダルトコンテンツしかありません”ではなく“未成年者お断り”という警告を発していると同じように、"Japanese Only" は“日本人以外お断り”と読まれる可能性は限りなく高いだろう。
もう一つ、何故 "Sorry" を敢えて選択するかという点も疑問だ。英語の "Sorry" は日本語において安易に連発される“すみません”とは大いに異なる。“自分に絶対的な非があり、全責任を負う”というニュアンスを含んだ危険な言葉だ。日本語のコンテンツしか用意しない事に、重大な責任でも伴うのだろうか。
同じようなつまらない論議は、“リンクフリー”という熟語でもされている。どちらも中途半端な和製英語による不明瞭な意志伝達が問題となっていた。しかし、両者には決定的な差異がある。リンクフリーは“主に日本語話者向け”に発せられているメッセージなのに対し、Japanese Only は明らかに“非日本語話者向け”であるという点である。
日本語が読めるWebサーファの中に、“リンクフリー”が何を言いたいかについて知らない人は少ないだろう。例え間違った英語だとしても、余程のひねくれ物でもない限りはその意志を汲み取って理解するはずだ。それが、日本のWebにおける慣習として概ね定着しているからだ。しかし "Japanese Only" を読むべきなのは、概ね日本のWeb慣習も何も知らない外国語話者である。“みんなやってるから”では通用しない。
で、全く何も書かないほうが良いかというと、そうとも言い切れない。単なる文字化けなのか、それとも他国語のフォントをインストールすべきなのかが判断できるからだ。翻訳サイトに通す時にも役に立つ。私はハングルは全く読めないが、韓国のサイトによく訪れる。しかしその時は“たまたま”画像ボタンの中にハングルが混じっていたので気付いたが、それが無かったら何語のフォントをインストールすべきなのか全く解らなかっただろう。機転の利く人は、ドキュメント内の lang/xml:lang属性 を参照するかもしれないが、残念ながら多くのリソースには言語コードが明示されていない。
過渡的な解決策としては、例えば "Need to install Japanese fonts to read this site.","Japanese fonts required.","The text of this site is mainly written in Japanese.」"などがある。(ネタ拝借元:全角英数字で「Japanese only」なページって

*1:有害サイトに認定されたくないのであえて全角