GUI vs CUI

グラフィカルユーザインタフェース(以下、GUI)は、今日のPC社会に無くてはならないシステムとなっている。実際いつまでもCUIのままであったならば、これほどまでにPCやWebが現代社会に浸透することは無かっただろう。複雑なシステムの処理を、一つの視覚的なオブジェクト/アクションとして捉える事で、誰にでもわかる仕方でPCを操作できるからだ。例えば作成したテキストファイルに手(カーソル)をあわせ、そのままゴミ箱に持っていけばそのファイルを捨てることが出来る。ご丁寧にゴミ箱アイコンの端から捨てられたファイルの残骸が垣間見えるから、一層そのアクションに対して安心できるだろう。
しかし、ある程度操作に慣れてくると、ゴミ箱自体使わなくなってくる。その一連の操作が面倒になってくるからだ。わざわざファイルをドラッグしてデスクトップ上のゴミ箱まで運ぶよりは、[del]キー一つ押すほうが圧倒的に楽だ。あるいは別々のウィンドウを一つずつ開いて手動でドラックしてファイルをコピーするよりも、コマンドプロンプトで[copy ... ...]と打つほうが余程早かったりする。
文書の作成についても同じ事が言える。MS WORDや一太郎などといったワープロソフトはとても便利なのだけれども、いざデザインを適用しようとなるととても面倒になってくる。例えば「段落の上下のマージンを2%取って、文字サイズは200%、列の高さは140%」という指定をする時、CSSなら10秒もあれば可能なのにそれらのソフトでは数倍の手間がかかる。全体に適用できるスタイルシートが無ければ、もっと大変だろう。これらは全て「ダイアログボックス」という視覚的なインタフェースを用いているために生じる問題点だ。
実際HTMLを書く時も、簡単なテンプレート用のマクロを一つ用意しておくだけで、オーサリングツールを使用せずとも素早くページが作れる。逆に、それらのツールで一つ一つスタイルを適用していく姿を考えるだけで、面倒くさくて鳥肌が立ちそうだ。
もちろんGUIが悪いわけではない。私も多いにGUIに依存したシステムしか操作する事が出来ない。今後さらにGUIは発展していくだろう。だけれども、時に“古い”インタフェースは圧倒的に“速い”というケースは少なくない。それら両方を活かしたアプリケーション開発が、変わりゆくインタフェースの中でも長く生存していくためのコツとなるだろう。
大学のレポートは専らMS WORDで書いているのだけれども、アウトラインモードの機能性の低さにはいつも閉口している。着眼点や操作性は申し分ないが、如何せん細かい配慮に欠けているような気がする。スタイルの適応の仕方が変。正しく構造を組んだはずなのに、何故かずれる。印刷プレビューが忠実に印刷されない。などである。
HTMLで書いたほうが余程速いような気もしてくるのだけれど、media="print"用プロパティにちゃんと対応したUAって少ないですし。